幽女の如き怨むもの

三津田信三の長編ミステリ。

十三歳で遊女となるべく売られた少女。"緋桜"と名付けられ、身を置いた世界は苦痛悲哀余りある生き地獄だった。戦前、戦中、戦後、三つの時代の謎の身投げの真相は"幽女"の仕業か、何者かの為せる業か。謎と怪異に満ちる地方の遊郭を舞台に、ミステリランキングを席巻した"刀城言耶"シリーズ第六長編、文庫降臨。

今までの"刀城言耶" シリーズはホラーとミステリの端境を行ったり来たりしていたのだが、今回はあまりそれらしいどんでん返しもなく、おとなしく収束したイメージ(驚きの真相、的なものはあったが) 。ただそれでも十分面白かったのは、だらだらした解説が少なかったのかもしれず、小説として良いのではないかな。