新・戦争論

池上彰佐藤優の対談。
世界の紛争中の国と地域について一つ一つの状況と今後の日本の展望を語る。尖閣諸島からイスラム国まで、仕事とはいえいろんなことをよく知ってるものである。
どこについての話でもよく出てくるのはイスラム教勢力。日本では比較的なじみが薄いが、そもそも中世の昔から西欧の仮想敵国は常にイスラム教勢力であったことを考えれば驚くことではない。こういうことはどっちが悪いと一概にはいえないもので、元々あった宗教勢力争いに西欧帝国主義が余計なことをしてさらにこんがらがった、というケースが多いようだ。先に手を出しておいて、あとから仕返しされそうになると「いやそれは間違ってる」「ひどい」と周りに訴える人がいたら嫌われ者になるだろうけど、そうならないのが西欧諸国というか英仏米あたりのうまいところであり迷惑なところ。
今の世界は基本的に欧米主導というか、国という概念とかそういうものも含めて欧米の作ったルールでやっていて、合理主義とか資本主義とかで20世紀以降の世の大半は何とか収まってきたわけですが、それでもやっぱり世界のすべてをそれで統一というわけにはいかないようで、イスラム圏というのはその最たるものの1つ。文明的な連中はうまく丸め込んだけど、そうでもない連中は不満をためていて、欧米的なものの限界がきている中でそういった抑えられていたものが弾けたというか突き刺さったというのが最近のテロが頻発する情勢なんではなかろうか。たとえば(といって歴史の話にスライドしますが)歴史というものがある社会集団の営みの記録である以上、万人が納得する歴史というものが存在しないのは当たり前で、異なる社会集団には異なる歴史があって当たり前なのである。別の言い方をすれば「正義の反対は別の正義」である。その点で人間はぶれない、というかまったく進歩していないので、今後またどうやって矛を収めるか、なあなあでやっていくか、うまいやり方を考えださないと戦争なんてことにもなるかもしれませんね。