グランド・ブダペスト・ホテル

監督/脚本:ウェス・アンダーソン(2014 独=英)
出演:レイフ・ファインズ、F・マーリー・エイブラハム、マチュー・アマルリックエイドリアン・ブロディウィレム・デフォーほか
内容:名の知れたホテルのコンシェルジュが殺人の濡れ衣を着せられる。
久しぶりに日本で映画を見る機会があったが、面白そうなのがウェス・アンダーソン映画しかなかったときの悔しさがわかるだろうか。嫌いじゃないんだけど、いまひとつ喜べないというか。でも新宿だし、近いし、と、いろいろ妥協して見たんだが、そこそこ面白かった。これもまた口惜しい。
ウェス・アンダーソンといって、もっとも記憶に残っているのは「ザ・ロイヤル・テネンバウム」あたりで、「有名俳優を自分の思いついたギャグにつきあわせる監督」「おれのセンスカッコいい!という主張が強い監督」というイメージで、正直心象はよくない。よくないのだが「ダージリン急行」のエイドリアン・ブロディはかっこよかったし、久しぶりに会う人と鉄道旅行というのも面白かった。実を言えば他の作品も少し面白く感じた。なので次は面白いかも、という変な期待を抱かせる監督なのである。中央線ではダメだけど総武線なら行けるかも、みたいな。それが今回はようやくその変な期待に応えられた作品だった。
会話の間とかしゃべり方とか色使いとか漫画のようなテンポとか、好みが別れるところだとは思うが、この作品では少なくとも物語と一貫したテーマがきっちりしていたのが私には良かったのだと思う。