孤宿の人 上・下

宮部みゆきの長編時代小説。
讃岐国・丸海藩に置き去りにされた、「阿呆の『ほう』」と名づけられた娘「ほう」は、藩医を勤める家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた娘が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いでいく。
現代を舞台にした小説は暗く、時代小説は明るい、というイメージを宮部みゆきには勝手に抱いていたのだけども、今回は時代小説で暗かった。いやよく考えれば他の時代小説も明るいのは登場人物だけで扱う話は暗いことも多いかもしれない。
読者の予想を裏切って主要人物がバタバタと退場するあたりは新鮮に感じたし、加賀殿がほうに新しく漢字をつけてあげるところは予想通りながら感動的であるが、傑出した名作というわけではない。

孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)

孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)

孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)

孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)