奇術師

二人の奇術師の回想録によって現代における主人公の謎が明らかになるミステリ。19世紀から20世紀にかけてのイギリスという私の好きな時代の話ではあるが、あまりそれらしい雰囲気が感じられないのはなぜだろう。もっともその主人公の謎もわりとどうでもよくて、焦点は敵対する二人の奇術師がそれぞれ行う瞬間移動の奇術にある。どういう理屈でくるかが読者のもっとも気にかかる点であると思うが、興醒めさせてしまうのもアレなのでここでは触れない。ただニコラ・テスラが出てくるとは思わなかった。