映画小僧である主人公が、独自のラインナップで映画をかける「クラシック座」の女主人と懇ろになり、彼女により映画評論の目を鍛えられ、その中途で映画黄金時代の隠れた名監督・キャッスルの作品に魅きつけられる。主人公は長じて大学の映画学科の教授となり、キャッスル消失の背後にある真実を求めるうちにカルト宗教に首を突っ込み、大変なことになる話。
訳のせいなのかそういう作家なのか知らないがとにかく読みづらい、というのが最初の感想だが、その後読みづらい文章にも慣れたら『ダ・ヴィンチ・コード』ばりのミステリーの先が気になってしまい最後まで読むことができた。
タイトルにもある通り、作品は映画を一つの軸にしているので映画の要素がちりばめられており、映画好きをくすぐるような話も多く、またエピソードの中には審美的映画批評と技術的映画批評とか、映画は大衆娯楽か芸術かとか、テレビと映画とか、なかなか示唆に富んだ話も多い。これらが全て話の本筋にうまく絡まっているので面白かった。
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