白夜行

東野圭吾の長編小説。
物語は一件の殺人事件から始まり、その被害者の息子と容疑者の娘の周りで19年に渡って起こる数々の事件が大きなスケールで描かれている。分類するなら暗黒小説というかノワール。ロマン・ノワールの映画版がフィルム・ノワールなので、その小説版というと矛盾した言い方になるが正確に思える。
ノワールといえばファム・ファタールということで、容疑者の娘・雪穂はそういう悪女の資格を十分に備えているが、彼女の目指すところは最後までよくわからなかった。いわゆる悪女というものは男を破滅させることが目的であったりするわけだが、彼女の場合はそうではなさそうであるし、被害者の息子キリハラと一緒になるつもりがあったとも思えない。美人ということなのでその辺がはっきりしなくても許してしまいがちだが、そこが気になると言えば気になる。でも面白かった。

白夜行 (集英社文庫)