死の接吻

どういうわけか私は昔のアメリカが舞台の小説が苦手である。それは行ったことがないからのような気もするし、清教徒的なイメージもハードボイルドな感じも好きでないからという気もする。価値観がわからないからという気もする。もしかしたら読んだ数が少ないというだけかもしれない。要するにイメージがつかめないだけか。ちなみに映画だとあまり気にならない。
この作品の舞台もそういう私の苦手なアメリカなのだが、なんとなく勢いで買ってしまったので仕方がない。物語は大金持ちの娘を次次と殺す冷酷な男とその捜査の顛末。いわゆるフーダニットというやつで「誰がやったか」が問題なのだが、私は大事なところで睡眠を挟んでしまったので誰が誰だかわからなくなり、一時混乱した。まあそれだけ上手に主語を隠せているということか。翻訳が大変そう。とかそんなことを思いながら読んだ。死のイメージとして犯人が戦争中に殺した日本兵の話が出てくるので、そういうのが嫌いな人は読まないほうが良いかもしれない。