漱石作品に見られるユーモアの解説。
著者は中国人で漱石と魯迅と比較していたが、魯迅はまったく手をつけたことが無いのでその辺はよくわからなかった。それでもそれぞれの背景からどう異なったかというあたりは大体伝わった。笑いということで「吾輩は猫である」と「坊っちゃん」等の引用が多く、思い出しながら笑えた。やはり「猫」は面白い。
また留学してからの漱石の心情の変化が不思議とよくわかる。海外にいると日本のことが気にかかるのはいつの時代も同じらしい。田舎から出てきた人の心持に近いかもしれない。あとフランスではエスプリ、ロシアでは諷刺、英米ではユーモアが生まれたというくだりも面白かった。ちなみに日本では滑稽・おかしみに加えて同情心ということだったが、個人的にはむしろロマンであるように思う。
- 作者: 張建明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/02
- メディア: 単行本
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