キング・オブ・コメディ

監督:マーティン・スコセッシ(1983 米)
出演:ロバート・デ・ニーロジェリー・ルイス
内容:コメディアンにあこがれて。
素直な私はタイトルから勝手に明るい内容を期待していたのだが、ふたを開けてみればコメディアンに憧れるあまり自らを以てその代わりとする妄想にとりつかれた男の物語だった。笑えるけれど明るくはない。それでも主人公が妄想に浸っているのか醒めているのかよくわからないあたりはイカレていておもしろかった。特にラストでステージに上がった時のジョーク、ジェリーを縛り上げてきたくだりは最高。その情けなく不気味な主人公を演じるのは若きデ・ニーロで、この人は「タクシー・ドライバー」といい「ケープ・フィアー」といい偏執的な人をやらせたら右に出るものはいないかもしれない。あ、監督も同じだからスコセッシが上手いのかな。とにかくとても偏執的なコンビである。いや偏執的な人を映画化するのが上手なコンビである。