タンゴ

監督:パトリス・ルコント(1992 仏)
出演:リシャール・ボーランジェ、フィリップ・ノワレ、ティエリー・レルミット、ジュディット・ゴドレーシュ、キャロル・ブーケ、ミュウ・ミュウ、ジャン・ロシュフォール
内容:男三人妻殺しの旅
飛行気乗りヴァンサンは不貞の妻と間男を殺し、なぜか無罪。数年後、甥をつれてきたその時の判事が「無罪にしてやったから甥の妻を殺せ」と命令し、3人は妻殺しの旅に出る。あらすじだけ述べるとあまり明るい話ではないが、この映画は私の中ではフランス映画を代表する作品となっている。
まず不貞の妻と間男の殺し方。飛行機に追い詰められる間男、上空で落とされる妻、いずれも間違いなくヴァンサンに殺されたわけだが「手にかけた」感がなくて良い。妻にいたっては本当に「さようなら!」という感じすらある。それから3人が旅の途中に見る様様な愛のかたち。子供が欲しいため(だけ)にセックスも殺人もためらわない女、妻との関係を保つために見守るだけの男。これらは極端な一例ではあるがいずれもお互いの愛情の量が等しくないことに因っていて、思えばヴァンサンの殺人も甥が妻を殺そうと思うのも同じこと。愛の形は様様であり愛情の量も等しくあるはずはないのだが、そのことがわかっているのは妻を殺したヴァンサンだけのようである。そして(たぶん)そのヴァンサンが仕掛けた結末がまたいい。ドライなようでいてその実温かい、パトリス・ルコントの代表作といえる作品かと思う。

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