時計じかけのオレンジ

監督:スタンリー・キューブリック(1971 英)
出演:マルコム・マクダウェル
内容:暴力的な若者が矯正され政府に利用される。


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 舞台となるのは近未来ということで風俗が現代と異なる世界(でも基本的には英国)で、登場するもの全てを象徴的に使って普遍的なものを浮かび上がらせているのはキューブリックのすごいところである。なんというか大きいところから細かいところまで皮肉に次ぐ皮肉、諷刺に次ぐ諷刺、というのがこの作品の印象だがその最たるものはやはりエンディングの「完ぺきになおったね」かなと思う。個人的には療法中の主人公の姿(まばたきを封じられ、目の乾燥を防ぐために定期的に目薬をさされる姿)が泣きながら懺悔しているように見えるのが好き。
 ついでに言うと公開当時にこの作品はかなりの衝撃だったらしい。もちろん今見てもその衝撃は感じられるが当時とは趣が異なる。今感じる衝撃は原作者とキューブリックの暴力を暴力で諷刺した未来と現代の社会がそう変わりがないという点にあるんじゃないかな。