深夜の告白

監督:ビリー・ワイルダー(1944 米)
出演:バーバラ・スタンウィック、フレッド・マクマレイ他
内容:保険金殺人をたくらむ男女。


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 大学の時分に映画論という授業があって、簡単に単位をもらえるという噂を信じたのが半分、授業内容への興味が半分で履修したことがある。実際の授業では先生の好きな映画を見せて残りの時間でその先生の思いの丈をぶちまけるというなんともいえないもので、一日の最後のコマだったこともあり半年経つまでに偶にしか出席しない授業になった。
 その授業内で先生が絶賛していたのがこの「深夜の告白」で、確か「スタジオで映画を作る時代の最高傑作」とか「フィルム・ノワールの代表作」というようなことを言っていたように思う。フィルム・ノワールという言葉は説明すると長くなるが、当時の社会状況を理解した上で使うべき言葉であり、ごくかいつまんで言うと主人公が堕落してることを条件とした戦後の犯罪映画。と考えておけばおおむね間違ってはいないと思う。とにかくそういうことでこの作品が「フィルム・ノワールの代表作」であるとする先生の意見は正しいと今更ながら思う。
 原作はサスペンスやミステリーでお決まりとなっている保険金殺人の先駆けとなるもので、それを読んだワイルダーがチャンドラーと脚本を書いたもの。チャンドラーの作品もなぜか一時期続けて読んだことがあるが、この作品のすこし重苦しい雰囲気が「湖中の女」「大いなる眠り」と共通するものであるというのは納得。というよりも私の場合はフィルム・ノワールという言葉よりもチャンドラーの作品が先に来ているので、こういう雰囲気的テーマ的な重苦しさを見ると全部「チャンドラーに似てる」と思ってしまう。いや正直に言うと普段はその名前さえ忘れているので「なんだったか忘れたけれども前に読んだ本に似てる」と思ってしまう。
 ちなみにその授業は半年も過ぎるとほとんど出なくなっていたのだが、試験内容は当時ロードショーにかかっていた先生お勧めの邦画を見てきた上で感想(というか結末の解釈)を記述、というものだったので単位は無事もらえた。題名はなんだったか忘れた。