ゲット・ショーティ

監督:バリー・ソネンフェルド(1995 米)
出演:ジョン・トラヴォルタジーン・ハックマンレネ・ルッソダニー・デヴィート
内容:チンピラが映画プロデューサーに。
期待外れの映画というのは見るより先に期待してしまうからいけないのであって、当然のことながら期待していない映画には掘り出し物はあっても期待外れはない。ならば期待しなければ良いのだが出演者や監督に素敵な名前が連なっていれば期待しないわけにはいかない。映画を作る側としても観客のそういう期待をあおるために高いお金を払ってスターと呼ばれる人たちをキャスティングするわけで、つまり観客の期待は作る側の期待である。ところが世間では必ずしも期待通りにいかない。なにもかも期待通りにいくのなら賭け事は成り立たないし某球団は毎年優勝できるはずである。このことは誰しも自らの人生経験をもって知っていることと思う。
ということで前置きが長くなってしまったが「ゲット・ショーティ」は期待外れの映画である。実は公開当時にも同じような感想を持ったように思うが、見終わった直後もしばらくしてからもどうも内容をはっきり思い出せなかったのではっきりと言明するのは今までためらわれていたのだった。
この作品は何が悪いといって観客に期待させてしまう出演者を並べているくせにどいつもこいつもぱっとしない人になってしまっていることが先ずあげられる。そしてそれはぱっとしない役であるからではなく、むしろ面白そうな役柄ばかりのように思えるのにそれぞれがペラっとした通り一遍な印象しか与えられていないように思える。つまりは話を盛り上げられない脚本が悪いのではないかと思う。といっても話し自体がつまらないわけではなく、映画好きのチンピラがうまいことやって映画プロデューサーにおさまるというストーリーはやりようによってはかなり面白くなりそうな話である。それだけに期待外れの度合いも大きく残念な気がする。もっともこの作品に「映画界ほど期待外れの多い世界もない」という意味合いも含めているというのであればこの映画は実は成功なのかもしれない。