ブロークン・フラワーズ

監督:ジム・ジャームッシュ (2005 アメリカ)
出演:ビル・マーレイジェフリー・ライトシャロン・ストーンジェシカ・ラング、クロエ・セヴェニー
内容:同棲相手に愛想をつかされたかつてのドン・ファンの元に届いた一通の匿名の手紙。
一口に言うと覆水盆に還らずというロードムービー。ただ過去は戻らずとも未来にはその人なりに無限の可能性があるというのが救いというか、だから人生は素晴らしい。これは言葉としては使い古されていて陳腐だが、実感を伴うとすごく重いというか、少し大人になったような気がすることの一つ。
そういうことを素っ気なく呆気なく伝えるのがジム・ジャームッシュのうまいところ。またビル・マーレイの持つ飄々としたような、人を小バカにしたような独特の面持ちがそういう経験をさせるのに適役。彼の特色はサタデーナイトライブの時代から一部に人気ではあったが、今になって人気が出てきているのは実は中年の哀しさを伴うことで映えるというか広く受け入れられるものになったからではないだろうか。