コックと泥棒、その妻と愛人

監督:ピーター・グリーナウェイ (1989 英・仏)
出演:リシャール・ボーランジェ、ヘレン・ミレンティム・ロスマイケル・ガンボン
内容:コックと泥棒、その妻と愛人の話。
主な登場人物はまず下品・乱暴・醜悪かつ虚栄心の塊というこの世の悪徳を体現したかのような泥棒(マイケル・ガンボン:この人どこかで見たことあるなあと思ったらハリーポッターの2代目ダンブルドア先生だった。ちょっとショック)。その泥棒に嫌気がさし、彼から逃れて不貞を働く色気たっぷりな妻(ヘレン・ミレン)。彼女に軽く憧れを抱かせ、同じく不貞を働くのはインテリを絵に描いたような愛人(アラン・ハワード)。泥棒に雇われた正体不明の料理長(リシャール・ボーランジェ)。そして舞台となるレストランは取り澄ました人たちで溢れており、かれらは泥棒に対して目を顰めている。
泥棒は己の欲求を剥き出しにしているために目立ってはいるが、他の登場人物たちも取り澄ましながらも各各の欲求のもとで動いている点で実は同じ穴の狢であり、レストランという舞台そのものが象徴する人間の欲求というものが、道徳的な善悪を超越していかにもエグくて醜くみえる。つまり泥棒が持ってきた食材が放つ悪臭と、最後の料理の衝撃は同じものだと思う。
演劇を思わせるカメラの動きや舞台ごとの色の変化など、映像的にも素晴らしい作品。ただし私には料理長の意味するところが今一よくわからないのが残念なところ。

コックと泥棒、その妻と愛人 [DVD]

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  • リシャール・ボーランジェ
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