僕のニューヨークライフ

監督/出演:ウディ・アレン (2003 アメリカ)
出演:クリスティーナ・リッチ、ジェイソン・ビッグス、ダニー・デビート
内容:僕のニューヨークライフ。
 主人公ジェリー(ジェイソン・ビッグス)は「コメディ作家だけど純文学を仕上げたい」「カウンセラーにかかってるけど信用してない」「変化が欲しいけど環境は変えたくない」「強い女性に弱い」という矛盾だらけの性格から喋り方(吃り方)までが「マンハッタン」や「アニーホール」、果ては「スターダスト・メモリー」でウディ・アレンが演じた悩める青年を髣髴とさせ、その主人公に現在のウディ・アレンが助言をする形で話が進行するのでいくらかややこしい。主人公はこれまでの生活を全て断ち切ることに散散躊躇った挙句にカリフォルニアでの新たな挑戦を選ぶ。ウディ・アレン自身がそうするべきだったと後悔しているのかこれからはニューヨークに拘らないことを言っているのか(次作はロンドンが舞台らしい)はわからないが、ここが「アニーホール」と大きく異なる点。原題「Anything else」とあわせて考えてみると、やはりウディ・アレン自身のニューヨークとの一つの区切りのような気もする。
 そんな意味深い主人公を支える脇役が興味深い面面で、主に笑いを担当していたように思える。彼女のアマンダ(クリスティーナ・リッチ)は子供っぽい自意識過剰さがあって、この幼さにウディ・アレンの嗜好が入っているのかどうかはさて置き、なかなか良い役だった。どういうわけかこの人は偏った監督に好まれる傾向にある。マネージャーのハーヴィ(ダニー・デビート)は持ち前の無能っぽさや暑苦しさを存分にアピールしていた。クビになる場面は秀逸。そしてあぶない年上の友人ドーベル(ウディ・アレン)がいろんな意味でキレキレ。特にライフルを購入するくだりが最高で、相変わらずマルクス兄弟好きだなぁという感じ。ウディ・アレン映画はおしゃれなイメージを持たれがちだが、この人が目指しているのはこういうベタベタなコメディだと思う。

僕のニューヨークライフ [DVD]

僕のニューヨークライフ [DVD]

  • ジェイソン・ピッグス
Amazon