カラマリ・ユニオン

監督・脚本:アキ・カウリスマキ(1986 アメリカ)
出演:マッティ・ペロンパー、プンティ・ヴァルトネン、サッケ・ヤルヴァンパー、マルック・トイッカ他
内容:男たちが現在の窮状から逃れるために街の反対側を目指す
上のあらすじ紹介では意味がわからないと思うのでもう少し詳しく書くと、イカ墨同盟(カラマリ・ユニオン)を名乗る15人のフランクたちが、今いる街は荒廃しきっていてどうにもならない、と街の反対側にある「エイラ」というところを目指す話。余計に意味がわからないかもしれない。しかし今いる場所を捨てて理想郷を目指すと言うのはよくある話。わけのわからないことを並べることで明確になるテーマ。
15人のフランクたちはそれぞれが様々な方法で「エイラ」を目指すが、一人は地下鉄運転手の凶弾に倒れ、一人は現実と妥協し、とフランクの数は徐々に減っていき、「エイラ」に辿りついたフランクは僅か4人(死体となって運ばれたフランクを除けば3人)。理想郷が捨ててきた場所と変わらない、というのもまたよくある話ではあるが、辿りついた3人のフランクの中でも、そこで絶望するフランク、諦めないフランク、ついていくフランクと反応は様々。
カウリスマキ作品では幸せのかたちがテーマとなることが多いが、つまるところいずれのフランクの末路もそれぞれのフランクなりの選択であって、誰も否定することはできないというところにカウリスマキらしい「幸せのかたち」の回答があるように思う。そういった意味でも「レニングラードカウボーイズ」の原型と言える作品。