新撰組血風録

新選組血風録 (角川文庫)

新選組血風録 (角川文庫)

新撰組の隊士を通してみる幕末でも幕末の中で精一杯生きる隊士でもいいが、とにかく新撰組の短編集。読むのはこれで3回目ぐらいだが、どの話も内容を忘れていたので面白かった。
夢や正義は稀少価値が高いから尊ばれるものだと思うが、幕末における新撰組も同じで、直参ですら失いかけていた幕府への忠義、当時ではありえなかった近藤・土方・沖田ら武州以来の仲間の友情らしきもの、そして「士道不覚悟」という理由で切腹という過酷なまでの武士道精神と、いずれも当時(もしくは今でも)稀少だったゆえに今尚人気があるのだと思う。ちなみにその武士道を掲げていた連中が農民出身というのも時代の皮肉だ。