世界短編傑作集1

世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)

世界短編傑作集 1 (創元推理文庫 100-1)

江戸川乱歩が短編推理小説の佳作を集めた短編集。全五巻からなり、19世紀後半から第2次大戦後までの短編を時代を追って提供している。選んだ基準は「一冊の短編集として出される可能性の少ない作家の、すぐれた作品」だ、そうです。要するに乱歩が、無名だけど、これちょっといいかも!と思った作品群。しかしトリックだけが良かったりする作品もあるので玉石混交。
1は1860年代から20世紀初頭までの作品を収録。私がホームズやらポアロやらに慣れ親しんだせいか、やはり推理小説の舞台は執事やら小間使いやらがわらわらと駆け回る古い大邸宅とその時代にこそふさわしいように感じる。馬丁や庭師が離れに住んでいたりしたら更に良い。
収録されている作品は『人を呪わば』『安全マッチ』『レントン館盗難事件』『医師とその妻と時計』『ダブリン事件』『十三号独房の問題』『放心家組合』の7作品。
『安全マッチ』はあのチェーホフの作品ということで興味を持ったが、よく考えたら映画『黒い瞳』の原作もチェーホフの『子犬を連れた貴婦人』で、ちょいとミステリっぽい要素があったような。いやミステリってほどでは無いのだけれども、なんかね、女は何でも知ってるのよ的なアレがミステリっぽいというか。