ハピネス

監督:トッド・ソロンズ (1998 米)
出演:ジェーン・アダムス、フィリップ・シーモア・ホフマン、ディラン・ベイカー、カムリン・マンハイム、ジョン・ロビッツ
内容:3人姉妹とそれを取り巻く人々のさまざまな思いと日々。


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 登場人物たちは、いわゆる悩み事に対してあまり前向きに対処しない人たちと、そうでない人たちに分けられる。前者は一般的によくある悩み事に悩み、時に傷つき、時に泣き、大ダメージを引きずりながらも何とか解決していき、幸せになる。後者は常識的には大問題と思える悩みを抱えているはずだが、自らの価値観からそうは思っていない。彼らは最悪の結末を迎えるにもかかわらず、其々本懐は遂げているので後悔はしておらず、当人の価値観でいえば幸せということになる。
 唯一私の勝手な分類に当てはまらないのがロシア人のヴラッド。彼は欲望のおもむくままに動くので、これはこれで幸せ。というより唯一悩みを持たず、傍観者的な立場にある。今まで散々見せてきた悩める人たちを、監督はヴラッドの口を借りて「バカなアメリカ人」と評している。無責任といえば無責任だが、これこそこの作品のメッセージではなかろうか。
 じりじりとした雰囲気で見ている者の焦燥感を煽り、他人事とは思えない含みを持たせて他人の不幸と笑えるのか?と手放しで笑うことを許さない。しかもそれら全てを「バカ」と笑い飛ばす辺り、観客を笑う監督の姿が見える。結局、悩み事なんてマスターベーションと一緒。