ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

監督:ウェス・アンダーソン (2001年 アメリカ)
出演:ジーン・ハックマンビル・マーレイアンジェリカ・ヒューストングウィネス・パルトローダニー・グローバーベン・スティラー
内容:天才一家と世間にもてはやされた家族が、再びひとつ屋根の下に集うことに。
淡々と、しかも努めて抑え気味に進む登場人物紹介とストーリー。そして逆にたくさんの情報がこめられた映像。つまり外はあっさりサクサク、中はトローリ濃密な感じで、わずかに歪んだ世界。
そしてこれは登場人物たちの人間関係にも当てはまる。ロイヤルやパゴダを除くと皆洗練されドライな人たちのはずだが、その裏にはドロドロとしたいかにも人間臭い感情が眠っている。ロイヤルはもっとも洗練されていないクズのような人間のようで、実際クズのような人間なわけだが、少なくとも一家と一家に関わる数人の人生が良い方向に向かう転機は彼によってもたらされており、ロイヤルこそもっとも人間らしく血の通ったキャラクターであるともいえる。おそらくはこのあたりが監督の狙いではないかと思うが、墓碑銘などに見られる自己中心的な考えと傲慢さが最後の最後まで健在だったのがよかった。結局のところ、タイトル通りに終始彼の我儘だと思うと楽しくなる。
黒ジャージは普通に笑えた。