告白

巷で噂の湊かなえ作品を読んでみた。読んだ3作品の中では「告白」が話としては一番救いがないけども一番面白かった。と書くと私が人でなしのようだけども実際に面白かったので仕方がない。
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。(「BOOK」データベースより)
叙述トリックは、言われてみればそういう風にも読めるというものと、意識の有無を別として信頼できない語り手による供述というものがあって、まだ他にもあるかもしれないが、とりあえず無意識の信頼できない語り手が私の一番の好みらしい。 
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

 

 

少女

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く―死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。(「BOOK」データベースより)

「告白」よりももう少しポップな感じの、叙述トリックというかどんでん返しのある作品。主人公が女子高生だからか感情移入できず、突き放した感じで読んでしまった。

少女 (双葉文庫)

少女 (双葉文庫)

 

 

ロック・クラッシャーを求めて

仕事でロッククラッシャーの価格を知る必要があったので調べてみた。ロック、クラッシャー、いずれもアウトローな響きのする言葉ではあるが日本語で言うと破砕機とか粉砕機のことである。
 
これが種類が多すぎてなかなか自分の思い描くものに辿りつけない。一つには日本で岩を砕いて砂を作るというのは、工業的に必要な場合かもしくはかなり大きな現場などに用途が限られてくるので、砂工場でも始めますかというサイズのものが多いのである。また、おそらくは震災の後に増えたんだろうけども瓦礫の除去を目的とした破砕機もまた多い。破砕して細かくした瓦礫を自動分別できたりするものもあって、すごく日本らしい。
 
日本でちょうど良いものが見つからないので、ならばアメリカよ、と今度は英語で探してみることにした。アメリカで流通しているロッククラッシャーはというと、これまた工業的なものが多いのだが意外と小さいのもある。というより、個人で使いそうなサイズを製造販売している会社がゴロゴロ出てくる。流石DIYの国アメリカよ、個人で岩をも砕いちゃうのね、と勝手に納得しそうになったが、よく見るとどの会社も「岩をここに入れて、黄金を手に入れろ!」みたいなことが書いてある。販売会社の名前も「ゴールド」とか「マイニング」とか。そう、つまり個人で金の採掘をする人たち向けの通信販売が、それなりに成立しているようなのである。アメリカすげー。
 
というわけで、破砕機一つでもお国柄が現れて楽しいですね、という話でした。ちなみに私は↓の動画のようなのを作れないか検討してみることにします。
 

夜愁

サラ・ウォーターズの長編小説。
1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で生きるケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たち。戦争を通じて巡り合った人々は、毎日をしぶとく生きていた。そんな彼女たちが積み重ねてきた歳月を、夜は容赦なく引きはがす。想いは過去へとさかのぼり、隠された真実や心の傷をさらけ出す。
 

 戦争の傷を引きずりながら過ごすいろいろとマイノリティな人々。ミステリ的な要素を期待して著者の作品を読んで失望するのはこれで何度目か。これで翻訳されてるのは全部読んでしまった。文学としてなら良いんだろうけどもミステリとして期待してしまうので創元推理文庫から出さないでほしい。

夜愁〈上〉 (創元推理文庫)

夜愁〈上〉 (創元推理文庫)

 
夜愁〈下〉 (創元推理文庫)

夜愁〈下〉 (創元推理文庫)

 

 

親密すぎるうちあけ話

監督:パトリス・ルコント(2004 仏)

妻と別れて孤独な日々を送る会計士のウィリアム(ファブリス・ルキーニ)の事務所に、ある日、アンヌ(サンドリーヌ・ボネール)という名の美しい女性が訪ねてくる。彼女は前ぶれもなく自分の夫との私生活について赤裸々に語り始めるが、実は精神科医を訪ねるつもりが、ノックするドアを間違えてしまっていたのだった……。

 うちあけ話を聞いて、初めとまどい、どうしてよいかわからなかった会計士が、次第に女性に魅了され、そのために少しずつ自分を変えようとする話。その努力は結実するかと思いきや引っくり返され、やはりだめかと思わせてはまた引っくり返される。この観客をもてあそぶ感じが好き。

 主人公が女のうちあけ話をどこまで信頼できるのか?という点につきる話だが、ルコントはダメな中年男性にやさしいので、やさしい結末が用意されていた。オススメ。 
親密すぎるうちあけ話 [DVD]

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